栃木県の那須烏山市で毎年7月に開催されている山あげ祭は、四百五十年以上の歴史を誇る八雲神社例大祭の奉納行事です。
祭のなかで特に有名なのが、野外劇で行われる歌舞伎、そして祭りの熱気を最大限に体感できる”ぶんぬき”と呼ばれる行事です。
今回は山あげ祭の見所と2016年の基本情報をご紹介します。
栃木県 山あげ祭の見所|2016の日程と基本情報
山あげ祭は1560年(永禄3年)に戦国大名で烏山城主の那須資胤(なす すけたね)が城下五町鎮守である牛頭天王(ごずてんのう)を八雲神社にお祀りして疫病退散・五穀豊穣・天下泰平の祈願をしたのが始まりとされています。
当初は奉納余興として相撲や神楽獅子が催されていましたが、享保から宝暦年間にかけて歌舞伎舞踏が取り入れられるようになり、江戸時代の末期ごろには現在のような野外歌舞伎のかたちへと進化していました。
■はりか山
山あげ祭では、奥行きが100メートルにも及ぶ大掛かりな舞台装置を道路に据えて、常磐津(ときわず)の三味線と唄にのって美しい踊りを披露する野外歌舞伎が見所とされています。
この野外歌舞伎の舞台背景には、網代状に組まれた竹を骨格にして地元特産の”烏山和紙”を幾重にも貼り、その上から山水画を描いた「はりか山」が用いられています。たんに「山」とも呼ばれます。
この「はりか山」を人力だけで持ち上げて舞台を設置する様子から、”山あげ祭”という名称となったようです。
これを舞台背景にして、常磐津(ときわず)の三味線が奏でられるなか、歌舞伎舞踏が披露されます。
舞台上に配置する道具も大山(おおやま)・中山(なかやま)・前山(まえやま)・館(やかた)波・橋など、多くの種類があります。
これらの舞台装置が、『木頭』と呼ばれる指揮者の合図で様々な形態に変わる仕掛けとなっており、観客はますます物語の世界へ引き込まれていきます。
山あげ祭では元田町、金井町、仲町、泉町、鍛治町、日野町の6町が一年ごとの当番制で行事を執り行なっており、はりか山は毎回作り直しています。その為二度と同じ山を見ることはできません。
2016年の当番町は金井町です。
舞台の仕掛けも各町がそれぞれの趣向を凝らして作っているので、どんな仕掛けが施されているかを意識して鑑賞するとより楽しめますね。
「将門(まさかど)」「戻橋(もどりばし)」「蛇姫様(へびひめさま)」をはじめ、さまざまな演目があります(※毎年全ての芸題を上演するわけではありません)。
ひとつの舞台が終わると使用した舞台や道具は速やかに回収され、次の場所へと移動します。
舞台の設置や撤収といった一連の作業には150人もの若衆が必要とされていて、この際にうかがえる一糸乱れぬ若衆の手際の良さも見所の一つとなっています。
■山あげ祭の基本情報
【開催日時】
2016年7月22日(金)~7月24日(日)
【開催場所】
栃木県那須烏山市内
【交通アクセス】
・電車
JR烏山駅より徒歩で約1~30分
※上演場所により異なります
・車
北関東道宇都宮上三川ICから国道4号経由で約40km(50分)
【お問合せ】
那須烏山市商工観光課
TEL:0287-83-1115
■JRの増発列車が運行(東京)
JR東日本によると、山あげ祭開催期間のうち23日(土)・24日(日)の2日間、リゾートやまどり車両を利用した「快速烏山山あげ祭り号」が利用できます。
全車指定席です(発売は1ヶ月前の10時からの予定)。
~行き~
新 宿 8:57 発
宝積寺 11:00 着
~帰り~
宝積寺 17:45 発
新 宿 19:51 着
山あげ祭のユネスコ登録に期待!
山あげ祭といえば、「烏山の山あげ行事」として昭和54年2月3日に重要無形民俗文化財に指定されています。そして、今秋にはユネスコの無形文化遺産に登録される見込みで、那須烏山市はますます活気づいています。
今後のスケジュールでは、平成28年11月の政府間委員会における審査を経て、「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産の代表一覧表に記載される予定となっています。
那須烏山市ホームページより
また、鹿沼市の「鹿沼秋まつり」も山あげ祭と同じく四百年以上の歴史を誇る行事で、共に無形文化遺産に登録される見通しとなっています。
今年の山あげ祭開催時期にはまだ登録の結果は出ていませんが、ユネスコ効果から例年以上に活気溢れる素晴らしいお祭になりそうですね。来客数も大きく伸びるかもしれません(^^)
山あげ祭|ぶんぬきとは?
■ぶんぬき
♪およそ15分間鳴り続けるお囃子と若衆の掛け声のパワーがすごい♪
「ぶんぬき」とは、奉納余興のなかで各町の屋台同士が、お囃子(笛・太鼓・鉦)の激しさを競う行事です。相手のお囃子を「ぶんぬく」から「ぶんぬき」と呼ばれています。
各町の屋台が集まると、大勢の若衆が屋台を取り囲みギュウギュウ詰めの状態に。
笛が開始の合図です。お囃子は徐々にスピードを増していき、周りの応援の掛け声もより激しく響き渡り、最後はもうトランス状態です!
特に全町の屋台が揃っておこなう「ぶんぬき」では、およそ30分間お囃子を演奏し続けますよ。ぜひ、現場で「ぶんぬき」のパワーを体感してください。
まとめ
舞台背景の「はりか山」の絵には、山と共に必ず”滝”が描かれています。これは滝の水が”しぶき”となって周りに恩恵をもたらしているように、山へお迎えした神様の恵みが地域の人々へ届くようにと願いが込められているのだそうです。
地元特産の烏山和紙の上に描かれた”はりか山の山水画”をぜひ間近で観てみて下さいね。
野外劇は昼間の青空の下と、ライトアップされた夜の舞台とではガラッと雰囲気が変わりますので、どちらも鑑賞してその違いを味わうのも楽しいですね。
”ぶんぬき”もおすすめです。各町の屋台が集結して行うお囃子合戦はものすごい熱気でお祭の醍醐味が味わえますよ。
日本一の野外歌舞伎が観れる栃木県の山あげ祭をご紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^)